【江戸木目込人形の でき上がるまで
[桐塑本練頭製作工程]

1)原型作り
原型作り

@原型作り

人形の原型は粘土で作ります。原型を木枠の中に入れ、硫黄などを
流し込んで人形の型を取ります。この型を「かま」といい、
「かま」は原型の前半分と後半分の二つを作ります。


2)かま詰め
かま詰め

Aかま詰め

桐粉にしょうふ糊を混ぜて作った桐塑をかまの中に詰めてボディを
作ります。前後のかまに桐塑を詰め終えたら、前後を合わせて
一体にします。


3)ぬき
ぬき

Bぬき

押さえつけたかまを上から軽くたたくと上半分のかまがはずれます。
下のかまからボディを取り出す前に、はみ出した部分を竹べらで
きれいに取り除きます。
その後、下のかまを横にしてボディを取り出します。


4)木地ごしらえ
木地ごしらえ

C木地ごしらえ

よく乾燥した後、ボディに生じる凹凸やひび割れは、竹べらを使って
桐塑で補足したり、やすりできれいに補修したりして完全なボディに
仕上げます。この作業を木地ごしらえといいます。


5)胡粉塗り
胡粉塗り

D胡粉塗り

胡粉(貝殻を焼いて作った白色の顔料)を、にかわで溶かしてボディに
塗ります。ボディににかわが浸みこんで、ボディの生地を引きしめる
とともに、生地のくずれやすさを防いで、筋を彫りやすくする為です。


6)筋彫り
筋彫り

E筋彫り

胡粉が乾いたら、布を木目込んでいく為の溝作り(筋彫り)をします。
この筋彫りは人形の仕上りのよしあしに影響するので、彫刻刀を
使って一定の巾と深さになるように丁寧に彫ります。


7)木目込み
木目込み

F木目込み

溝に糊を入れ、型紙に合わせて切った布地を目打ちや木目込みべらを
使って、しっかりと木目込みます。


8)面相書き
面相書き

G面相書き

面相とは、人形の顔形のことで、この顔形を書くことを
面相書きといいます。人形のよしあしを左右する大事な作業です。


9)頭の取り付け
頭の取り付け

H頭の取り付け

木目込みを終えたボディに向きや角度をよく考えて、
頭や手を取り付けます。


10)仕上げ
仕上げ

I仕上げ

最後に髪の毛をブラシで整えたり人形全体をよくながめ
木目込みの不できな部分はないかを調べて仕上げます。




桐塑本練頭頭製作工程
@地塗り
桐塑の生地に地塗り用胡粉を塗る

A置き上げ
地塗胡粉を鼻や耳などに置き、おうとつや丸みを作る。この作業により素焼きや石膏にはない一体ごとの顔の表情が生まれる。
B中塗り
地塗りの時よりも胡粉を薄くして胡粉を塗る。
この後、水拭きや紙やすりで形を整える。

C上塗り
上塗り用胡粉(地塗りよりもきめ細かい)で3回から5回塗る。
D面相
薄墨で目や眉毛、紅で唇を書く。

E毛書き
墨で髪を植える生え際を書く。
F結髪
髪を入れる溝を小刀などで掘る。そして髪を溝に入れ、糊でとめて、髪を整えて仕上げる。

G完成

素焼きや石膏の頭では@〜Bの行程がないため手間がかからず、現在の主流になっています。